平成25年2月21日(木) 法務大臣臨時記者会見の概要

平成25年2月21日(木)法務大臣臨時記者会見の概要

本日,小林薫加納惠喜(旧姓は武藤),それから金川真大の3名の死刑を執行いたしました。この3名に関する犯罪事実の内容等については,別途お配りした資料のとおりです。それぞれの犯罪事実の概略を申しますと,小林薫については,姦淫目的で被害者である女児を誘拐した上,女児にわいせつ行為を行い,更にその発覚を防ぐために女児を殺害し,その遺体を損壊して遺棄し,その後,女児の両親を脅迫した,わいせつ目的誘拐,強制わいせつ致死,殺人,死体損壊,死体遺棄,脅迫等の事件です。続いて,加納惠喜,旧姓は武藤惠喜ですが,金欲しさに被害者1名を殺害して,金を強取した強盗殺人等の事件です。そして,金川真大については,多数の人を無差別に殺害することを計画し,被害者1名を殺害し,更にその後,駅周辺で被害者8名に対して包丁を突き刺すなどし,そのうち1名を殺害し,7名を殺害するに至らなかった,殺人,殺人未遂等の事件です。いずれの事件を見ましても,誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり,それぞれの被害者や御遺族等の方々にとって,無念この上ない事件であると思います。そして,当然のことながら,いずれの事件も裁判所において十分な審議を経た上で,最終的に死刑が確定したものです。以上のような事実を踏まえ,慎重な検討を加えた上で,死刑の執行を命令した次第です。

死刑の執行について

【記者】
100人以上いる死刑確定者の中から,なぜこの3人を選んだかということと,第二次安倍政権が誕生してから2か月足らずの執行ですが,この時期での執行について,どのようにお考えでしょうか。
【大臣】
まず一つ目の,具体的な死刑執行に関することについては,個別の答えは差し控えます。二つ目の点については,死刑を執行するという極めて重大なことですから,もちろん十分検討いたしまして,その検討ができたということで,執行を命令した次第です。
【記者】
この3人は,再審の請求については,この段階でしていたのでしょうか。
【大臣】
それは私からお答えすることは差し控えます。
【記者】
まだ執行されていない死刑確定者の現在の人数を教えてください。
【大臣】
本日現在,死刑確定者は134名です。
【記者】
執行後で134名ということでしょうか。
【大臣】
はい。執行後で134名です。本日執行された3名は除いた数字です。
【記者】
この3人が対象になった理由をお聞かせください。
【大臣】
個別のことは私は申し上げようとは思いません。ただ,一般論として申し上げますと,死刑という極めて重大な刑を執行するわけですから,十分資料を精査し,諸般の事情を勘案して決めたということです。
【記者】
法務大臣就任から大体2か月ぐらい経ったと思います。また,過去に,前回から2か月の間隔での執行ということがありました。今回,就任から2か月のこの時期に執行した理由について改めて御説明いただけますか。
【大臣】
私の答えは先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが,死刑を執行するに当たっては,もちろんきちんと精査をしなければなりません。そういったことをきちんとした上で,この日になったということです。
【記者】
本日,名古屋と大阪と東京で執行されているようですが,大臣は執行には立ち会われなかったということでよろしいでしょうか。
【大臣】
立ち会っていません。
【記者】
今後の執行の御予定というのはありますでしょうか。
【大臣】
死刑の具体的な執行に関しては,お答えを差し控えたいと思います。
【記者】
本日執行されたということを踏まえて,大臣の死刑制度そのものに対するお考えを改めてお聞かせください。
【大臣】
これは,人の命を奪うという極めて重大な刑です。ですから,慎重な捜査を遂げた上で,裁判所の慎重な判断があった上で,法務大臣として,十分諸般の事情も検討して,執行命令しなければならないと思っています。改めてその重みを感じた次第です。死刑制度につきましては,今まで議論があったことは事実です。賛成反対いろいろな議論があることを私はよく承知しています。しかし,やはり,死刑というものが存続してきた,我が国が制度として採用しているということについては,犯罪の抑止,被害者感情等,様々な理由があるだろうと思っています。
【記者】
現時点では,制度自体の見直しについては必要ないというお考えでしょうか。
【大臣】
問題点があるならば,常に改善しようとしなければなりませんが,この制度については,現時点では見直す必要はないのではないかと思っています。
【記者】
民主党政権では1年以上執行しないという時期があったのですけれど,法務大臣として,執行の在り方という部分で,長期間執行がないということがあっていいことなのか,また,今回,就任から2か月でこういう執行を決められていますけれども,法務大臣として死刑執行の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
【大臣】
私個人の感想を申し上げるのは差し控えたいと思います。これは,死刑が確定された方々の心情にも大きく影響するものであります。ただ,一般論として申し上げると,法は,死刑が確定してから6か月以内に執行すべきものとすると定めています。やはり,私はその精神も無視するわけにはいかないのではないかと思っています。
【記者】
現時点で134人の死刑確定者の中で,裁判員裁判による死刑確定者の数を教えてください。
【大臣】
この場では承知しておりません。
【記者】
本日は死刑に立ち会わなかったということですが,それについては,元々立ち会うつもりは全くなかったのでしょうか。立ち会わなかった理由についてお聞かせください。
【大臣】
そういうことは考えませんでした。立ち会われた方は今までいらしたことは事実です。しかし,それは極めて例外的であったと思います。私は立ち会うということを考えていません。
【記者】
国連の場で,日本の死刑制度は人権侵害であるということを指摘されたり,死刑廃止を求める声が最近,更に強まっていますが,そういう意見を受けても,今後,見直しについて考慮する予定がないというお考えでよろしいでしょうか。
【大臣】
いろいろな御意見については,オープンにして耳を傾ける必要があると思っています。今,国際的な動向をおっしゃいましたが,死刑というのは,極めて大きな内政上の問題であることの方がより重要ではないかと思っています。一国の治安の維持,あるいは一国の国民感情,国民の安心・安全をどう確保していくか,そういった観点をまずしっかり考えるべきではないかと思っています。
【記者】
執行前の死刑確定者数137人というのは,過去最多であったのでしょうか。
【大臣】
過去最多です。