令和5年7月11日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要
再審事件に関する質疑について
【記者】
昨日、検察、袴田さんの有罪主張へという報道が出ております。再審が長期化するということで、おそらく有罪立証、かなり見込みとしては難しい中で、なぜこのような判断をしたのか、世論の批判は高まっていると思いますが、お考えをお聞かせください。
【大臣】
お尋ねの件は、お分かりになった上で質問されていると思いますが、検察当局が法と証拠に基づき慎重な検討を重ねた結果、7月10日に、今後の再審公判において被告人が有罪である旨の主張立証をする方針であることを、検察当局が表明したということだと承知しています。その上で、お尋ねは、今後、再審公判が予定されている個別事件における検察官の活動内容に関わる事柄でありますから、法務大臣としての私の立場で所感を述べることは差し控えたいというふうに思っています。
【記者】
再審の決定手続についてお聞きします。袴田事件ですが、1966年に起きた事件で、袴田さんは有罪か無罪か、いまだに分からないまま死刑判決を受けて、48年収監されました。再審がようやく決定されましたが、更に数年間かかってもおかしくない。人間ならどう考えても異常です。人権の観点から、再審の決定プロセスの改革の必要性を感じていませんでしょうか。
【大臣】
まず、袴田さんの件についての検察当局の判断について、法務大臣としてコメントするのは差し控えるべきだというふうに思っています。
再審の制度については、法制審議会の部会において、1回議論がなされています。そこでは、再審請求審における証拠開示について、証拠開示すべきだという議論がありますけれど、一般的なルールを設けること自体が困難である、あるいは、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が指摘されていまして、これらを踏まえて慎重に検討する必要があるだろうというふうな結論が1回出ています。
その上で、この点につきましては、平成28年成立の刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項というものがありまして、そこで検討を行うことが求められています。それで、平成29年3月から、この検討に資するように「刑事手続に関する協議会」というものが開催されて、令和4年7月からは、同法附則第9条により求められている検討に資するため、「改正訴訟法に関する刑事手続の在り方協議会」というものが開催されておりまして、この協議会においては、例えば、再審請求審における証拠開示の話についても協議を行う予定となっているわけであります。現時点での我々の姿勢としては、この法律の附則の趣旨を踏まえて、これらの協議会で充実した協議が行われるよう、適切に対応していきたいというふうに考えています。