令和5年3月14日(火)再審請求事件に関する質疑について

令和5年3月14日(火)法務大臣閣議後記者会見の概要

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
昨日の袴田事件の再審開始決定を受けて、改めて再審請求の規定についてお尋ねします。これまで大臣は、証拠開示制度などについては、手続構造の違いなども踏まえて、通常審と同様の制度導入は難しいと述べられてきたかと思うのですが、袴田事件のように証拠開示が進んでいなかった時期の事件については、重要証拠が表に出ないまま被告側に不利益が生じ続けることになるかと思います。過去の法制審でも「放置していい問題ではない。」という指摘が上がっていたかと思いますが、法務省として応急的措置も踏まえた対処の必要性をどのようにお考えか、改めてお尋ねします。

【大臣】
再審請求審において証拠開示制度を設けることにつきましては、かつて法制審議会の部会において議論がなされておりまして、その際、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が指摘されているわけです。
再審請求審における証拠開示制度を設けることにつきましては、これらの指摘を踏まえて、慎重に検討する必要があると考えていますが、この点につきましては、平成28年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第9条第3項において、検討を行うということが求められているわけです。
したがいまして、平成29年3月から、この検討に資するよう、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する「刑事手続に関する協議会」を開催し、協議が行われてきたところです。
そして、令和4年7月からは、同法附則第9条により求められている検討に資するために、刑事法研究者等の有識者、法曹三者、警察庁及び法務省の担当者によって構成される「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」を開催しておりまして、同協議会においては、取調べの録音・録画制度や合意制度など改正法により導入された各制度に加えて、再審請求審における証拠開示についても、協議が行われる予定となっておりますので、法務省としては、附則の趣旨を踏まえ、こうした協議が充実した形で行われるように、適切に対応していきたいということです。

【記者】
今のに関連してですけれども、大臣が言及された法曹四者協議というのは、結局全く議論が進んでいなくて、昨年立ち上がった改正刑訴法の検討会に関しても、やはり検察官と弁護士と、入っているメンバーからすると、基本的には多分激しい意見の対立が見込まれると思います。こうした点を踏まえると、再審制度の証拠開示の制度化であるとか、再審制度の見直しについては、やはり法務検察の姿勢次第というところも大きいと思うのですが、そのあたりを踏まえて、今後具体的に、独自に法務検察として何かしら検討するPTを作るとか、そういったお考えはあるのかということをお聞かせください。

【大臣】
先ほど申し上げましたように、再審請求審における証拠開示については、今後、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」において、協議が行われるというふうに私は承知しておりますので、法務省としては、先ほど申し上げましたように、そこで充実した協議が行われるように適切に対応していきたいというのが、我々の今の考えです。

【記者】
関連で、検察官抗告の再審請求実施における在り方についてお伺いします。法曹関係者からは、その正当性について疑問を呈する声が上がっていますが、そのあたりについてのお考えをお願いします。

【大臣】
個別の再審請求事件における検察官の活動内容に関わる、直結する問題でありますので、法務大臣としてコメントすることは控えたいというふうに思っています。

【記者】
関連ですが、昨日の高裁の判断では、証拠を捜査側がねつ造した可能性が極めて高いと、非常に厳しい判断が出されました。これの受け止めと、御存じのように、袴田さんの取調べをめぐっては、客観的証拠が乏しい中で、マックス1日17時間に及ぶような取調べというのが続きました。時には便器も持ち出して、取調官の前で用を足させるということもあったそうです。こういった取調べの問題、そして昨日のねつ造の可能性が極めて高いという、非常に捜査側にとって彼らこそが刑事罰を問われかねないようなことがあった可能性が指摘されたことを含めて、大臣の現在の見解をお願いします。

【大臣】
東京高裁が再審を開始する旨を決定したと。そして、その内容も私は承知していますが、繰り返しになりますけれども、やはり個別の事件における裁判所の判断につきまして、法務大臣としてこの場で所感を述べるというのは、あるいはコメントするというのは、避けるべきだろうなというふうに考えております。