令和5年3月10日(金)再審請求事件に関する質疑について

令和5年3月10日(金)法務大臣閣議後記者会見の概要

再審請求事件に関する質疑について

【記者】
袴田事件に関連してお聞きします。(本月)13日に東京高裁が再審の判断を出すかどうかが注目されております。衣類の血液の変色が今回争点となるということですけれども、これまで全面的にその証拠を開示すべきではないかとか、そして、また、検事総長等々に対しては、特別抗告しないよう、弁護団や支援団体の方々が再三にわたって要求をされております。大臣として、この事件、どういうふうに受け止められて、向き合っていくつもりかお答えください。

【大臣】
まず、お尋ねは現在係属中の、しかも個別の再審請求事案に関わる事柄ですので、法務大臣の私がコメントをすることは、やはり差し控えるべきであろうと思っています。
制度の御質問も含まれていたのではないかと思いますけれども、一般論として申し上げれば、再審請求事件の審理は通常の公判手続とは異なっておりまして、当事者主義に基づく証拠調べの手続が行われるものではなくて、裁判所がその必要に応じて職権により事実の取調べをするということですので、通常の公判手続における証拠開示のルールは適用されないので、個々の事件において適宜・適切に判断すべきものかなというふうに考えています。

【記者】
先ほどのお答えですと、証拠はその時々に応じてということで、全面開示ということは現状考えていないのかなということが伺われるんですけれども、御存じのように、袴田事件では様々なアリバイに関する調書が出なかったり、変更されたり、それから当初パジャマ着だと言っていた話が、1年後、味噌樽から見つかった5点の衣類だ等々。色々なものがその後に調書として開示されたりということで、これが弁護団を含めて問題視していた一点だと思います。そういった部分を含めて、やはりもうこういう状況に、特に最高裁まで争われるようなものに関しては、全面開示ということを前提に、弁護団も検察側も向き合うべきじゃないかという声が出ていますが、これについては、現状まだそれに向き合うつもりはないという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
まず、袴田さん事件に限って言えば、先ほど申し上げたように、私の立場で、証拠をこうするべきだとか、味噌樽が、ということを発言するのは、控えるべきだろうと思っております。
制度に関して、再審請求審において証拠開示制度を設けるということにつきましては、かつて法制審議会の部会においても議論がなされております。その際には、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、それから、再審請求審は通常審と手続構造が違うので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が部会で指摘されたところであって、これを踏まえると、慎重に検討する必要があるのだろうというふうに考えています。