令和元年12月26日(木)法務大臣臨時記者会見の概要
本日,魏巍の死刑執行を行いました。
犯罪事実の概要等については,別途お配りした資料のとおりです。
概略を申し上げますと,中国人の共犯者2名と共謀の上,金品を得るために,資産家であると考えた被害者一家に狙いを定め,その住宅に押し入って家族全員を殺害し,金品を強取して死体を海中に遺棄することを計画し,周到に謀議と準備を重ねた上,これを実行した,住居侵入,強盗殺人,死体遺棄等の事件です。
この事件は,誠に身勝手な理由から,幸せに暮らしていた8歳と11歳の子供を含む家族全員を殺害し,極めて冷酷かつ残忍な事件であり,何ら落ち度のない4名もの尊い人命を奪った結果は,極めて重大です。
命を奪われた被害者はもちろん,御遺族の方々にとっても,無念この上ない事件だと思います。
そして,裁判において十分な審理を経た上で,最終的に死刑判決が確定したものです。
以上のような事実を踏まえ,法務大臣として,慎重な上にも慎重な検討を加えた上で,死刑の執行を命令した次第です。
死刑執行に関する質疑について
【記者】
大臣就任後初めての死刑執行となりましたが,どういうお気持ちで執行を命じられたのか教えてください。
【大臣】
申し上げるまでもなく,死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰でございますので,その執行に際しては,慎重な態度で臨む必要があるものと考えてまいりました。
それと同時に,法治国家においては確定した裁判の執行が,厳正に行われなければならないことも言うまでもないところです。特に,死刑の判決は,極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し,裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでございますので,法務大臣としては,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って,慎重かつ厳正に対処すべきものと考えております。
また,先ほども申し上げたとおり,本件については,誠に身勝手な理由から4名もの尊い命を奪うなどした極めて残忍な事案であり,被害者や遺族の方々にとって無念この上ない事件だと思います。本日の死刑執行は,これらのことを踏まえつつ,慎重な検討を経た上で死刑執行命令を発したものでございます。
【記者】
執行命令書に署名をされたのはいつですか。
【大臣】
令和元年12月23日です。
【記者】
今回,この魏死刑囚を選んだ理由を教えてください。
【大臣】
個々の死刑執行の判断に関わる事項についてはお答えを差し控えさせていただきます。一般論として申し上げますと,死刑執行に関しては,個々の事案につき,関係記録を十分に精査し,刑の執行停止,再審事由の有無等について慎重に検討し,これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしております。今回も同様の慎重な検討を経て,死刑執行命令を発したものです。
【記者】
確認ですが,最高裁判決が確定した年月と,魏死刑囚が再審請求をしていたかどうか教えてください。
【大臣】
死刑判決の確定ですけれども,最高裁判決が確定した年月は,平成23年11月10日です。
再審請求の有無については,法務大臣からお答えすることは差し控えさせていただきます。
【記者】
現時点で確定死刑囚のうち,未執行者は何人でしょうか。
【大臣】
本日現在で法務省において把握している死刑判決確定者は112名でございます。
【記者】
袴田元被告も含まれるということでよろしいでしょうか。
【大臣】
はい。含まれております。
【記者】
収容中の確定死刑囚の数というのは,111名でしょうか。
【大臣】
はい。そのとおりです。
【記者】
今この時期に行われたというところの理由について何かお伺いできればと思います。
もう一つ,森法相にとって初めての死刑執行だったと思うのですが,今回の執行をするに当たっての受け止めをもう一度お聞かせいただけますか。
【大臣】
まず時期についてでございますが,個々の死刑執行の時期に関わる事項についてはお答えを差し控えさせていただきますが,一般論として申し上げますと,死刑執行に関しては,個々の事案につき,関係記録を十分に精査し,刑の執行停止,再審事由の有無等について慎重に検討し,これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしております。今回も同様の慎重な検討を経て死刑執行命令を発したものでございます。
また,2つ目の御質問でございますけれども,申し上げるまでもなく,死刑は人の生命を絶つ極めて重大な刑罰でございますので,その執行に際しては,慎重な態度で臨む必要があると考えております。
それと同時に,法治国家においては確定した裁判の執行が,厳正に行われなければならないということも言うまでもないところでございます。特に,死刑の判決は,極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し,裁判所が慎重な審議を尽くした上で言い渡すものでございますので,法務大臣として,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って,慎重かつ厳正に対処をいたしました。
また,先ほどの繰り返しになりますが,本件については,誠に身勝手な理由から4名もの尊い命を奪うなどした極めて残忍な事案であり,被害者や遺族の方々にとって無念この上ない事件だと考えます。本日の死刑執行は,これらのことを踏まえつつ,慎重な検討を経た上で死刑執行命令を発したものでございます。
【記者】
確認ですが,刑の執行というのはいつ以来で,現安倍政権下では何度目,何人,という3点をお聞きします。
【大臣】
安倍政権下において何人目かという質問については,第二次安倍政権から第四次までの間の合計数で申し上げると,39人目の執行でございまして,17回目となります。もう一つの御質問,前回の執行は令和元年8月2日でございます。
【記者】
ちょうど今,クリスマスの辺りで,最近,ローマ教皇が日本を訪問したばかりです。ローマ教皇は,死刑制度に反対する立場を繰り返しているのですが,日本のイメージは死刑制度で悪化するリスクはないと思いますか。その懸念はあるのでしょうか。
【大臣】
死刑については,人の生命を絶つ極めて重大な刑罰でございますので,その執行に際しては,極めて慎重な態度で臨む必要があると思います。それと同時に法治国家においては,確定した裁判の執行が厳正に行わなければならないことも言うまでもないところでございます。国際機関における状況や諸外国における動向を参考にしつつ,基本的に各国において死刑制度について独自に決定すべき問題であると考えてございます。そのようなことに鑑み,今回,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って,慎重かつ厳正に対処したものでございます。
【記者】
来年4月に京都コングレスという形で,京都で国際会議が開かれるところですが,参加される国々でも死刑をやめている国,停止している国もあると思います。今回の執行を受けて,死刑執行について議題に上がることも考えられるのですが,それについて大臣はどうお考えでしょうか。
【大臣】
ただいまお答えしたことと重なるところもございますが,死刑制度の存廃については,国際機関における議論の状況や,諸外国の動向等を参考にしつつ,基本的には各国において,国民感情,犯罪情勢,刑事政策の在り方等を踏まえて独自に決定すべき問題であると考えております。そのような中で今回は法務大臣として,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って,慎重かつ厳正に対処したものでございます。
【記者】
関連で質問ですが,京都コングレスに参加してもらう国,参加してもらいたいということで,いろいろ呼び掛けているところであると思うのですが,今回の死刑をきっかけにして,もし参加したくないという国が出てきたら,どのような形で説得されるのか教えてください。
【大臣】
仮定の御質問についてはなかなかお答えすることが難しいと思います。
【記者】
確認ですが,確定死刑囚112人のうち,再審請求している方を教えていただけますか。
【大臣】
84名でございます。
【記者】
母数は112でよろしいでしょうか。
【大臣】
はい,112名のうちの84名でございます。
【記者】
今の質問に関連しまして,母数が111の場合も,84ということでよろしいのでしょうか。袴田さんを。
【大臣】
なかなか難しい質問でございますが,特定の個人の再審請求に関わってきてしまいますので,お答えは差し控えさせていただきたいと思います。