平成28年3月25日(金)法務大臣臨時記者会見の概要
本日,鎌田安利,吉田純子の2名の死刑を執行しました。
その事実について,私から公表したいと考えていましたが,国会開会中で答弁の要がありましたことから,まずは事務方に事実を伝えてもらうこととし,本日午前11時に公表させました。
死刑執行に関する質疑について
【記者】
前回の執行から3か月ぶりとなりますが,この時期を選ばれた理由,それから今回その二人を選んだ理由をお聞かせください。
【大臣】
この時期に死刑の執行を行うこととした理由ですが,個々の死刑執行の判断に関わる事項についてはお答えを差し控えます。ただ,一般論として申し上げると,死刑執行に関しては,個々の事案につき,関係記録を十分に精査し,刑の執行停止,再審事由の有無等について慎重に検討し,これらの事由等がないと認めた場合に初めて死刑執行命令を発することとしており,今回も同様の慎重な検討を経て死刑執行命令を発したものです。
また,今回2名の執行された者について,どのような理由で選んだのかということですが,これも個々の執行の判断に関わる事項ですのでお答えを差し控えますが,一般論として申し上げれば,死刑の執行に関しては,個々の事案につき,関係記録を十分に精査し,刑の執行停止,再審事由の有無等について慎重に検討し,これらの事由等がないと認めた場合に死刑執行命令を発することとしています。
【記者】
前回,昨年12月の執行の時は,裁判員裁判で確定した死刑確定者への執行でした。執行後に,裁判員経験者の方々からは,市民への情報提供について要望も出たと思うのですが,その後,死刑の情報開示,情報提供ということについて,何か前回の執行後,具体的に検討が進んだのかについて教えてください。
【大臣】
具体的に進んだということは,結論から言うとまだありませんが,ただ,そういった情報提供については慎重に検討すべきだと思っています。
それから,先般,法務省に対し,死刑執行の際の立会いや死刑確定者との面会等に関する要望書が高橋シズヱさんから提出されていますが,要望書にあるような死刑執行に関する事実等をお知らせすることが,かえって被害者の御遺族の方々の心情や生活の平穏を害することも考えられます。
したがって,法務省において,今後いかなる対応が可能かについて検討をしてまいりたいと考えています。
【記者】
この2件の事件について,関係記録を十分に精査されて判断をされたということですが,事件の内容を踏まえて印象をお願いします。
【大臣】
これも,個々の死刑執行の判断に関わる事項についてですので,私からはお答えは差し控えます。
【記者】
今回の死刑執行に限らず,日本の死刑執行に関しては,ヨーロッパ諸国や人権団体等から,執行停止,ひいては死刑制度の廃止を求める声がありますけれども,それに関して,大臣の御見解をお願いします。
【大臣】
死刑の存廃や執行停止に関し,国内外において様々な御意見があることは承知をしていますし,私もそのことについては念頭に置いています。
死刑は,人の生命を絶つという極めて重大な刑罰ですから,その執行に際しては,慎重な態度で臨む必要があるものと考えています。同時に,法治国家においては,確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないことは言うまでもありません。特に死刑の判決は,極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し,裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものですので,私としては,裁判所の判断を尊重しつつ法の定めるところに従い,慎重かつ厳正に対処すべきものと考えています。
【記者】
似たような質問で恐縮ですが,今回2度目の執行命令ということで,改めて執行命令をすることに対しての御所感ですとか,責任の重さなどについてお願いします。
【大臣】
個別にそういったことについて申し上げることは基本的には差し控えたいと思いますけれども,私自身も,法務省内の関係部局において専門的な立場から関係記録を精査した結果についての報告を受け,また必要な資料や記録を十分な時間を掛けて検討した上で最終判断をさせていただきました。
【記者】
先ほどのお話によりますと,再審事由や再審請求の有無等を検討して,それらの事由はないと認めたときに命令を発するということでしたが,ということは,今回の二人について再審請求はしていないという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】
そのことについては,お答えは差し控えます。
【記者】
今度は別の観点からですが,大臣は就任から5か月の間に二度の死刑執行でした。前大臣は,1年余りの任期の間に死刑執行は一度だけでした。そのことと比較しますと,岩城大臣になってから執行のペースが早まったのではないかという印象を受けるのですが,これについてはいかがでしょうか。
【大臣】
その時々の判断によると思いますが,ペースの問題とか間隔の問題とか,これは一概にお答えすることはできないと思います。あくまでも,裁判所の判断を尊重しつつ,法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものと考えており,そういった慎重な検討を重ねた上で,死刑の執行命令を発したということです。
【記者】
慎重に検討を重ねた上で,今回のペースで執行されたということは,今後も同様のタイミングや頻度で行われていくと受け止めてよろしいでしょうか。
【大臣】
今後の死刑執行の判断に関わることについては,私の立場から発言すること自体で,死刑の執行を待つ立場にある死刑確定者の心情の安定を害するおそれがあると考えられますので,その所見について申し上げることは差し控えます。
【記者】
先ほどの質問に関連するのですけれども,今回2件の執行について,個別の印象について述べるのは差し控えるというお話があったと思うのですけれども,最初の昨年12月の会見の際には,例えば「極めて残忍な事案であり」などと言及されていて,今回は説明が後退されているのではないかと思うのですが,何か理由があるのでしょうか。
【大臣】
理由と言いますか,私自身が,今日はこういう形で,事務方の説明の後の私の会見ですので,犯罪事実の概要などについては,既に事務方から話があったものとして触れませんでしたが,あえて重ねて申し上げさせていただければ,この二つの事件は,誠に身勝手な理由から被害者の尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり,それぞれの被害者や遺族の方々にとって,無念この上ない事件だと思っています。
(以上)