いわゆる「福島2人ひき逃げ殺人」 | 出典 | ||
事件発生日 | 2020年5月31日 | 岩手日報20.6.1朝 | |
被告・受刑者 | 盛藤吉高(もりとうよしたか) | ||
年齢 | 逮捕時(20.5.31)50歳 | ||
事件の概要 | 福島県三春町の国道脇で清掃ボランティアをしていた男⼥2⼈がトラックにはねられ、死亡した事件。盛藤受刑者は、事件前々日に福島刑務所を満期出所していた。知人らから当面の援助を受け、就職の話も進んでいたが、新しい人間関係やなじみのない仕事への不安が募り、長く刑務所にいるため、事件当日朝に就職予定先のトラックを盗み、2名をひき逃げした。 | ||
第一審 | 裁判年月日 | 2021(令3)年6月29日 | |
裁判所名・部 | 福島地裁郡山支部 | ||
事件番号 | 令和2(わ)80 | ||
判決 | 死刑 | ||
裁判官 | 小野寺健太 池上弘 風間直樹 | ||
裁判要旨 | 窃盗、道路交通法違反、殺人で起訴され、主に殺人罪に関して争点となった。検察側は盛藤受刑者には被害者らを殺害する意欲があったと主張するのに対し、弁護人は、被害者らが死ぬかどうか分からないが死んでも構わないという程度の認識であったと主張した。判決は、両者の主張を退け、「被害者らを死亡させる蓋然性が高いことを認識しながら、意図的に本件トラックを被害者らに衝突させた」とした。量刑については、2名の命が奪われた重大事案であることを基礎に、罪質が極めて悪質であって動機も身勝手かつ自己中心的で酌量の余地がないこと、犯行態様の残虐さや犯行遂行の意思の強固さが認められることを考慮し、高度の計画性までは認められないことを踏まえても、死刑の選択は免れないとした。 | ||
控訴審 | 裁判年月日 | 2023(令5)年2月16日 | 裁判所ウェブサイト |
裁判所名・部 | 仙台高裁 第1刑事部 | ||
事件番号 | 令和3(う)97 | ||
結果 | 破棄自判 | ||
裁判官 | 深沢茂之 梶直穂 鏡味薫 | ||
裁判要旨 | 弁護側は、 訴訟手続の法令違反、事実誤認、法令適用の誤り、量刑不当を主張。判決は、量刑不当に関して、「被告人の生命軽視の態度、姿勢は明らかではあるが、これが甚だしく顕著であるとまではいい難い。したがって、原判決による、本件の動機経緯、計画性の程度も踏まえた上でなお上記傾向を踏み出した量刑判断をすべき特別の事情も見出せない。」とし、過去の裁判例との公平性の観点を踏まえても、原判決が死刑の選択をやむを得ない と認めた判断には、具体的、説得的な根拠が示されているということはできず、不合理な判断をしたものといわざるを得ない、として、原判決を破棄し、無期懲役の判決を下した。 |
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上告審 | 裁判年月日 | 2024(令6)年5月27日 | 裁判所ウェブサイト |
法廷名 | 最高裁判所第一小法廷 | ||
事件番号 | 令和3(う)97 | ||
裁判種別 | 決定 | ||
結果 | 棄却 | ||
裁判官 | 堺徹 深山卓也 安浪亮介 岡正晶 宮川美津子 | ||
裁判要旨 | 検察側の上告に対し、判決は、人の生命を奪うための綿密な計画や周到な準備に基づき、殺害を確実に遂げるべく実行した犯行とはいえず、犯情を総合的に評価すると、死刑を選択することが真にやむを得ないとまではいい難いとして、控訴審判決を支持し、棄却した。 | ||
備考 | 第一審で、盛藤受刑者は、事実を認めて被害者らの遺族に謝罪の言葉を述べている。また、一人の被害者遺族に対して10万円の被害弁償をしている。 | 第一審判決 |