報告書「世論という神話 日本はなぜ、死刑を存置するのか」(佐藤舞&ポール・ベーコン 著)の概要を、モーショングラフィックスにしました。(所要時間2分)
2021年に実際に死刑が執行されたのは、中国、イラン、エジプト、サウジアラビアなど、世界中で18か国のみでした。OECD加盟国では、米国(一部の州)と日本のみです。(出典:アムネスティ・インターナショナル日本)
死刑廃止が世界の潮流とされる中、日本政府は死刑制度を見直す姿勢を見せず、死刑存置の根拠を「世論調査で8割の国民が死刑制度を支持している」としています。
確かに、死刑制度に関する2019年度の内閣府世論調査では、「死刑は廃止すべきである」「死刑もやむ得ない」の選択肢に対して、81%が「死刑をやむを得ない」を選択しています。しかし、この数値をもって、「死刑制度は大半の国民に支持されている」といえるのでしょうか?
同じ2019年の内閣府世論調査でも、「仮釈放のない終身刑が新たに導入されるならば」という条件下では、廃止・存置の態度が大きく変わることが示されています。
そして、内閣府世論調査の結果をさらに解析するために行われた佐藤舞さん・ポールベーコンさんによる「ミラー調査」では、存置派と呼ばれる全体の73%の層のうち、その71%が「日本政府が死刑を廃止したら、政府政策として受け入れる」と回答しました。死刑廃止派と加えると、全体の6割の人が、死刑廃止を受け入れる結果となったのです。
そもそも、法務省が死刑に関する詳細な情報をひた隠しにする中で、国民はどれほど死刑制度を知っているのでしょうか。そして、より詳細な情報を知った場合、死刑存置・廃止に対する態度はどう変化するのでしょうか。佐藤舞さん・ポールベーコンさんが行った「審議型意識調査」は、存置派・廃止派も、互いの意見を受け入れる余地と柔軟性があることを示しました。
詳しくは、佐藤舞さん・ポールベーコンさん著 報告書「世論という神話 日本はなぜ、死刑を存置するのか」をお読みください。こちらから、無料でPDFをご覧いただけます。また、よりわかりやすいインフォグラフィックスもあります。
https://artivers.com/notes/更新/2022/07/23_13096/
「審議型意識調査」は、その模様がドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」として公開されました。本編をご覧になりたい方は、こちらからお申し込みください。
ドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む”世論”」
※2019年「基本的法制度に関する世論調査」
https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-houseido/2-2.html